ちょっと空いた時間に、記憶力を鍛えたい!いつも携帯しているのがiPhoneであれば、Nバック課題を簡単に行えます。
Nバック課題は、1958年にキルヒナー(Wayne Kirchner)によって紹介された、一時記憶能力(ワーキングメモリーの能力)の測定方法です。
N個前の問題を答えていく形式で行われ、連続正答数やNの値などで一時記憶能力が評価されます。
例えば、1’バックであれば、1問目の計算問題の結果を記憶しつつ、2問目の計算を行い、2問目の計算の後に、1問目の計算結果を答えるといった手順で一時記憶能力を測定します。3問目の計算の後には、2問目の計算結果を答えます。
Nバック課題には、測定だけでなく、一時記憶能力自体を向上する効果もあることがわかり、現在では脳トレの一つとして扱われるようになっています。
Nバック課題で一時記憶能力が向上すれば、計算力や長文読解力が上がる(いわゆる流動性知能を高める)ことに加えて、他の様々な認知機能にも良い影響があります。
認知症を予防する効果の高いウォーキングに加えて、Nバック課題などで脳の予備力を強化すれば、認知症予防効果も、より高くなると考えられます。
有名なところでは、ニンテンドーDSの『東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング』にもNバック課題が入っています。
Web上にも、無料でNバック課題を行えるサイトがあります。以下に1つ紹介します。
iPhone,iPad,アンドロイドなどにも、Nバック課題を行えるアプリが多数存在します。次に紹介する「N’バック」「N’バック 10」も、そんなアプリのひとつで、iPhone上でNバック課題を行うものです。
アンドロイド版については、こちらをご覧ください。
n-backアプリ「Nバック for iPad」をご利用いただいている研究の論文を以下に紹介します。
・軽度認知障害を認める外来透析患者に対してN-back課題を実施した一例. 作業療法 39(2): 217-222, 2020.
・透析中のN‒backトレーニングが軽度認知障害を呈する血液透析患者の認知機能に与える影響と経過.日本透析医学会雑誌 54(3): 141-147, 2021.
iPhoneアプリ「N’バック」は、指示された色、または形がいくつ表示されたかを数え、N問目後の表示の直後に、その数を回答していくゲーム形式のNバック課題アプリです。
正答している限り、半永久的に行うことができます。
iPhoneアプリ「N’バック」では、3つのやり方でNバック課題を行えます。
数える図形が一瞬表示され、すぐに消えます。一時記憶能力に加えて、瞬時に図形を数える能力が無いと、この方式でのNバック課題は正答できません。
このフラッシュ方式では、スムーズにできるようになるまで少しイライラします。でも、できるようになると、音楽のリズムを刻むときのような心地よさが体験でき、気分も良いものです。
このリズムに乗った時の心地よさは、他の2つの方式では味わえないものです。
でも、慣れすぎてしまうと、物足りなさを感じてきますし、恐らく、ワーキングメモリーを鍛える効果も薄くなっていきます。
裏を返せば、それだけ能力が上がったということでしょうが、その際には、Nの値を一つづつ増やし難易度を上げていきます。
スロー方式は、基本的には、フラッシュ方式と同じです。違いは、図形の表示される時間です。スロー方式では、フラッシュ方式よりも長く図形が表示されます。
フラッシュ方式が難し過ぎてできないと感じたときなど、このスロー方式で練習するとよいかもしれません。
スロー方式でできるようになったら、ぜひ、フラッシュ方式を試してみてください。
ステップ方式では、自身のペースで図形を数えてから、ボタンを押して次の表示に移りますので、瞬時に図形を数える能力は必要ありません。
このステップ方式は、純粋なNバック課題に近いものだといえます。
ステップ方式では、フラッシュ方式のような心地よさが無いので、ただただ一時記憶能力を鍛えるだけの味気ないものに感じるかもしれません。
iPhoneアプリ「N’バック」の使い方をフラッシュ方式を中心に説明します。といっても、簡単で、条件を設定して、スタートボタンを押し、後は、図形を数えて答えるだけです。
メイン画面から左上のギアボタンをタップして設定画面を表示し、3つの条件を設定します。
一番上のセレクターで、Nバック課題のNの値を設定します。1’から始めるのがおすすめです。
心地良さが体験できるフラッシュ方式がおすすめです。フラッシュ方式が難し過ぎると感じた場合には、スロー方式をお試しください。
できるだけ純粋なNバック課題として利用したい場合には、ステップ方式を選択します。
図形のカウントを、形状で行うのか、色で行うのかを選択します。どちらか好みのタイプを選択します。
形状と色とでは、脳科学的に何らかの違いが有るのかもしれませんが、現時点では判然としません。個人的には、色で行うほうが若干やりやすく感じますが、これにも個人差があるようです。
スタートボタンを押してスタートすると、あとは、ひたすら図形を数えて、N回遅れで回答していくだけです。
本筋の使い方は以上の通りですが、その他として、補足的な機能説明を付け加えます。
プレイ中でなければ、右上のスコア・ボタンから、スコア表が表示できます。
スコア表は、Nの値ごと、方式ごと、図形のタイプごとに、分けられていて、現在設定されている条件でのスコア表が表示されます。
不要なスコアは、編集で削除することができます。
プレイを中止するためには、リセットボタンを押します。プレイはリセットされます。リセットされたプレイのスコアは、スコア表に記録されません。
静かにプレイしたいときや、効果音がうるさく感じる場合は、これをオフできます。下部のスピーカボタンを押すだけです。プレイ中でも、サウンドのOn/Offが簡単にできます。
iPhoneアプリ「N’バック」には、無料版と有料版があります。無料版でも、普通の方であれば、十分に、ワーキングメモリーのトレーニングができます。
無料版が有料版と異なる点は、広告が表示されることと、Nの値です。有料版では10’バック(N=10)まで行うことができます。
既にワーキングメモリーの容量が大きい、などのため、低いNでは物足りないという方は、有料版を選択してください。
なお、無料版でも、アプリ内課金で、有料版と同じ機能にアップグレードすることができます。まずは、無料版をお使いいただくのが良いかと思います。
脳トレ7 は、Nバックを含む7つの脳トレを収録したアプリです。
NBack 3D は、課題として回転する3D図形をカウントするNバックアプリです。
iPhoneアプリ「N’バック」と同様の機能のiPadアプリもあります。「Nバック for iPad」というiPadアプリです。
「N’バック 10 Dual」は、一度に2つの課題を処理していくn-backアプリです。「N’バック 10」「Nバック for iPad」の二重課題版です。
n’Back Color は、色をカウントするNバックアプリです。
使い方が簡単で、設定するのはNの数だけです。Nは12まで設定できます。
「N’Back バタフライ」も、Nバック課題を行えるPhone&iPadアプリです。
「N’Back バタフライ」では、よりゲーム感覚でNバック課題が行えます。
「N’Backバタフライ」はユニバーサル・アプリですので、iPhoneでもiPadでも同じように、楽しみながらNバック課題を行えます。